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ベーシック32/誠信の交わり1

[2011年4月8日]
誠信の交わり
滋野浩毅さん

滋野浩毅さん

 大学卒業後,室町の和装メーカー勤務を経て,立命館大学大学院政策科学研究科在学中の1998年8月,京都市まちづくり塾支援事業「夢・ロマン・京都シティ」のまちづくり塾企画募集に「京都ものづくり塾」を応募,採択される。現在,「京都ものづくり塾」代表。地域産業が地域文化や地域経済に与える影響や日本におけるNPOの方向性とNPO・社会起業のあり方等を専門にするほか,東アジア,特に韓国・朝鮮の歴史文化,国際交流史などについても関心が高い。

1.韓国・晋州との縁

 

 京都市の「パートナーシティ」に韓国慶尚南道晋州(チンジュ)市があります。韓国南西部に位置する人口約34万のこの都市は,京都同様,大学の多い「教育・文化・芸術のまち」であり,絹織物の産地としても有名です。河川・陸上交通の拠点で,物資の集散地であるという地理的に重要な拠点であったために,豊臣秀吉の朝鮮出兵,文禄・慶長の役(韓国側では壬辰倭乱(イムジンウェラン),丁酉再乱(チョンユチェラン))における激戦地でありました。また,韓国の被差別民衆「白丁(ペクチョン)」の差別撤廃運動・衡平社(こうへいしゃ)創立の地でもあります。今年は衡平社創立80周年に当たりますが,創立の前年に京都で結成された部落解放組織・水平社とも交流,連帯をしていました。

 

 

 さて,私は,5年前,京都市国際交流協会主催の「国際交流・韓国ホームステイ」に参加した際,訪問地の一つとして晋州を訪れ,地元の学生たちと交流しました。晋州城(チンジュソン)ではじめて顔を合わせたあと,大学で講義を受けたり,一緒に食事をしたり,はたまたカラオケに行って大いに盛り上がり,とても楽しい経験をしました。そのとき,韓国の学生たちが日本の音楽,ドラマなど,日本の事情について非常に良く知っていて,また,とても関心が高かったことに驚いたのに対し,われわれ日本からの訪問メンバーは韓国のことについてあまりにも知らないことを痛感しました。
 あれから5年,韓国映画,K-POP(韓国のポップス)がどんどん日本で紹介されるようになり,また,昨年には日韓共催のサッカー・ワールドカップも開催され,両国の距離感は特に若者を中心に大きく縮まったように思えます。
 江戸時代,朝鮮通信使が日本に来たときに,多くの人々がその衣服や楽団の奏でる音楽に関心を示し,また,使節としてやって来た学者たちに,書の揮毫(きごう)や詩文の添削を求めたのですが,ここに来て日韓両国は,朝鮮通信使がやってきた時代のような,お互いへの理解と関心の高まりの時代に入ったといえるのではないでしょうか。
 京都にも在日韓国・朝鮮の方がたくさん住んでおられますし,また,留学や仕事などで来られる方もたくさんいます。私も,先日韓国から来た留学生の方と共同研究をして,学会で発表をしました。日本と朝鮮半島の間でかつてあった「不幸な時代」のために,交流の機会を持つ際にも,私たちはどうしても身構えてしまいがちになりますが,過去のことは事実としてしっかり受け止めながら,また,相手との文化の違いを認識しながらも,地道に,かつ着実に「お互いに言いたいことを言い合える」関係を築くことが「真のパートナーシップの構築」といえるのではないかと思います。
 これから数回にわたって,仕事や生活の中で感じたり体験したりした身近な人権の話を,書いていきたいと思いますので,肩の力を抜いてお読みいただけたら幸いです。

 

「誠信」
 江戸時代の儒者・雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)は,朝鮮外交に携わった経験をもとに『交隣提醒(こうりんていせい)』を記し,その中で,国家,個人とも互いに誠意と信義を以って交際することを説き,そのあり方を「誠信の交わり」といった。

 

 

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