スマートフォン表示用の情報をスキップ

男女共同参画懇話会答申(はじめに-1)

ページ番号2313

2007年10月1日

は じ  め  に

 

 京都市男女共同参画懇話会の審議において,「男女平等」の代わりに「両性の平等」を用いるべきではないかという意見が出されました。

 

 これは,社会でごく自然に受け入れられてきた「男性が先で女性が後」という序列に対する問題提起として,いずれの性にも中立的な「両性の平等」という表現を用いることで,従来の社会制度・慣行の中に根強く残る性別による差別や偏見にひとりひとりが気付くきっかけとなることをめざそうとするものです。

 

 しかし,「両性の平等」は一般になじんでいないため,本提言では,「女性と男性の平等」としています。ただし,この「女性と男性の平等」という表現は,「両性の平等」と同様に,いずれの性も優先するものではないという理念に立っており,また,個人の多様な性のあり方を否定するものではありません。

 

 

1 女性と男性の平等を実感できる社会をめざして

 

  日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ,女性と男性の平等を実現するための取組が,とりわけ1975(昭和50)年の国際婦人年を契機として,社会のさまざまな分野で幅広く展開されてきました。しかし,依然として,「男は仕事・女は家庭」といった固定的な性別役割分業を前提とした社会制度・慣行が根強く残り,女性と男性の平等を阻害する大きな要因となっています。また,ドメスティック・バイオレンス 【※1】 をはじめとする女性に対する暴力,雇用における女性と男性の格差,政策・方針決定過程への女性の参画の遅れ,無償労働(アンペイド・ワーク) 【※2】 の女性への偏りなど,解決しなければならない課題は数多くあり,これまで十分に保障されてこなかった女性の人権を擁護し,女性と男性の多様な生き方を保障することが緊急かつ当然に求められています。

 

 こうした状況の中で,国は,女性と男性が互いに人権を尊重しつつ責任も分かちあい,性別にかかわりなく個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現を「21世紀の我が国社会を決定する最重要課題」と位置付けて,1999(平成11) 年6月に男女共同参画社会基本法を公布・施行しました。この法律は,男女共同参画社会の形成に関し,基本理念,国・地方公共団体・国民の責務,施策の基本となる事項を定めていますが,その立法趣旨は, (1) 女性と男性の平等に向けてさまざまな取組が着実に進められてきたが,なお一層の努力が必要とされており,一方, (2) 少子 ・高齢化の進展,国内経済活動の成熟化など社会経済情勢の急速な変化に対応できる豊かで活力ある社会の実現が緊要である,という認識に立ったものです。

 

 しかし,今なお女性と男性の平等が達成されたとは言い難い現実を直視すると,私たちがめざすべき社会は,ひとりひとりが家庭,地域,職場,学校など身近な生活の場面で真に女性と男性の平等を実感できる社会である,ということを改めて強調する必要があると考えます。女性と男性の平等とは,「生物学的な性差とは直接関係のない社会的・文化的に形成されてきた性差(ジェンダー)」に基づく特性や役割にとらわれることなく,女性と男性は平等に扱われなければならないとする理念であり,人がすべて個人として尊重される社会をめざしていくことです。

 

 なお,「男女共同参画」という用語は,1998(平成10)年11月に国の男女共同参画審議会が答申した「男女共同参画社会基本法について」の中で,「男女平等の実現を当然の前提とした上で,さらに,男女が各人の個性に基づいて能力を十分に発揮できる機会を保障することをも重要な基本理念としている」と説明されています。しかし,「男女共同参画」は意味がわかりにくく,また,広く一般に浸透しているとはいえないこと,さらには,男女共同参画社会基本法の英訳(仮訳)が「The Basic Law for a Gender-equal Society」となっており,「equal(平等)」を使用していることなどから,本提言では,社会のあらゆる分野における女性と男性の実質的な平等(目標)とその実現のための対等な参画(手段)を含む広義の概念として,「女性と男性の平等」という用語を用いることとします。

 

 

※1 ドメスティック・バイオレンス( Domestic Violence )

 夫婦や恋人など「親密な関係」にあるとされる女性と男性のパートナー間における暴力をいい,その多くは男性から女性に対して加えられる。「殴る・蹴る」といった身体的暴力のほか,言葉などによる精神的暴力,生活費を渡さないなどの経済的暴力,被害者を社会的に孤立させる社会的暴力,子どもを巻き添えにする暴力,性的暴力など,さまざまな暴力の形態がある。

 

※2 無償労働(アンペイド・ワーク:unpaid work )

 家事,子育て,介護など,家庭や地域での報酬が支払われない労働を指す。

 

 

 

INDEX      BACK      NEXT

 

関連コンテンツ

京都市男女共同参画推進条例について

お問い合わせ先

フッターナビゲーション